MISTECTはサーフェスコントロールシステムを標榜する。表面除菌システムだ。とくに床をターゲットにして開発した。

床に注目したのは、単純な疑問からである。他人と距離をとる「ソーシャルディスタンシング」が有効とされているのは、距離をとれば、ウイルスが届かないからである。すなわち、ウイルス(正確にはウイルスを含むエアロゾル)の大半は下に落ちているということだ。そのウイルスはどうなるのか? という疑問だ。アビガンを開発した白木公康氏の記事から図を引用しておく。

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278

床がウイルスの、まさに温床だと言える。にもかかわらず、床対策はすっかり見過ごされてきた。推奨されている対策はマスクと飛沫防止シートと手洗い、ドアノブなど手を触れるところの消毒ばかりだ。

劇団クラスターで見過ごされていること

2020年10月10日、さいたま市にある劇団の稽古場で、62人もの集団感染が発生した。91人の参加者のうちの1人がCOVID-19の感染者だったという。新型コロナウイルスの感染力の強さを実感するクラスターであるが、その報道をみるかぎりは、感染対策に問題があったといわざるを得ない。NHKの報道によれば、

稽古場はビルの4階で広さ80平方メートルほどの場所が2つあり、稽古中は音が出るため窓を閉めきり、1時間に1度換気をしていたということです。また、稽古中もマスクやマウスシールドを着用し、部屋や手すり、音響機器などもこまめに消毒していたということです

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201010/k10012658011000.html

という。換気はもっと頻繁でないといけないだろう。マウスシールドも問題だ。マスクと異なり、唾の飛散を防ぐだけで、ウイルスをまき散らすことは防げない。テレビでタレントや政治家がマウスシールドをつけているのを目にするが、誤解を与えるからやめるべきだと思う。

そして見過ごされているのは、感染者が吐出するウイルスが床に落ちているということである。床のウイルスは、人が動くと舞い上がる。NHK「クローズアップ現代」が実験している映像があるので、画像を引用しておく。

クシャミをするだけでも、ウイルスは舞い上がる。ましてミュージカルの劇団だ。歌いながら(ウイルスを吐出しながら)、激しく動く稽古だったことだろう。そのたびにウイルスが空気中に舞い上がり、吸い込むことになる。

このクラスターでは、ひとりの感染者から、91人のうち62人にも感染している。部屋や手すり、音響機器などもこまめに消毒していたのに、である。床に落ちたウイルスを稽古の動作で再び舞いあげて、それを吸い込むことが、この規模のクラスターにつながっているのではないか。

床を消毒するのは難しい

ならば、床を消毒すればいい。しかし、これが難しい。アルコールが比較的安価だし、確実だが、広い床にスプレーしていくと、爆発・炎上の危険がある。「アルコールで手指を消毒したあとに花火をするときは引火に注意」と製品評価技術基盤機構(NITE)が注意喚起したくらい、アルコールは火が怖い。 匂いも強く、床上にアルコールをふりまいたら、人間が匂いで参ってしまうだろう。

次亜塩素酸系の薬剤や界面活性剤でも消毒はできるが、床のような広い面積に施工しようとすると、重労働が必要になる(つまり、人件費がかかる)。そして塩素系の薬剤は匂いが問題だし、床下の機材がこわれるといった心配もある。次亜塩素酸水をバスの中で噴霧していたが、計器類がこわれたという事例がある。

2010年から弊社観光バス車内および夜行高速バス(*現在、高速バスは運行しておりません。)における、除菌消臭目的に「次亜塩素酸水によるバス車内噴霧器搭載」しておりましたが、常時噴霧によるバス運転席電子計器類関連すべてに、次亜塩素酸水噴霧による故障や不具合など影響及ぼすことや、これまでのお客様に乗車運行中噴霧による不快など、ご指摘懸念生じたことから搭載しておりましたバス車両全て搭載撤去させていただいております。

http://www.gse-nansatsu.com/www/GsewPostSingle.php?GseWebLang=ja&fdtGsewPostId=410&activePage=NEWS

人にもモノにも安全なGSEを選択し、超微粒子化して空間放出し、ブラウン運動で手間なく拡散させ、表面に定着させるMISTECTなら、この悩みを解決できる。

掃除機が原因の可能性

あわせて、とても気になっているのが、掃除機である。接待をともなう飲食店のクラスターは、これが原因のひとつではないかと疑っている。

感染者が来店し、床にウイルスをふりまいたとしよう。翌日の掃除機で、ウイルスを部屋中に拡散してしまう。SARS-CoV-2ウイルスは、水分を奪わない金属やプラスチックの表面では、72時間程度も感染率を保つことがわかっている。床から掃除機の排気で舞いあげられたウイルスは、ソファ、机、オープンエアに置かれているグラス類、水割りセット、食器類に感染力を保ったまま、ひそむことになる。

これでは、水割りを飲むだけでも、手づかみで柿の種を食べるだけでも、感染リスクがあるということだ。いくら手指消毒をしても、追いつかない。意外な話だが、SARS問題のときに香港で事例がある。掃除機でウイルスを部屋中に拡散してしまい、クラスターが発生した(雑巾による清掃でウイルスを拡散した事例もある)。

MISTECTなら、床でウイルスを待ち受けて抑制する。

(Author: 古瀬幸広)

補記

坂本史衣氏による「新型コロナ対策  フェイスシールド・マウスシールドってどうなの?」は必読。

また、豪連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究によると、「ガラスやビニール、ステンレススチール、紙幣、木綿の布の上に新型コロナウイルスを含んだ人工の粘液を載せ、湿度50%、紫外線の影響がない暗室で調べた。(中略)その結果、気温20度なら、木綿以外の表面には、いずれも28日後でもウイルスは残っていた。木綿では14日目までになくなった。」という(朝日新聞2020年10月12日報道