MISTECTはウイルス抑制剤にGSE(Grapefruit Seed Extract:グレープフルーツ種子抽出物)を採用している。そして、「GSEなんて、聞いたことがない」という反応をたまにいただく。たしかにGSEは無名の存在だ。それもそのはずで、これまではどちらかというと縁の下の力持ちのような存在だった。主として、品質保持剤(防腐剤)として利用されてきたものである。つまりGSEは主役ではなく、脇役として活躍してきたものだ。

GSEは食品添加物(既存添加物)

GSEは食品の防腐剤(法的には「製造用剤」)として使われてきた歴史がある。いわゆる食品添加物であり、これは食品衛生法によって管理されている。口にするものは安全でなくてはならないから、食品添加物は厳しく規制されている。当然のことである。

食品衛生法は1995年(平成7年)に改正されている。この改正のポイントはふたつある。ひとつは、「我が国において既に使用され、長い食経験があるもの」を「既存添加物」に分類し、例外措置をとったことだ。これを受けて『既存添加物名簿』が告示され(厚生省告示第120号。1996)、この名簿に記載された添加物については、指定を受けることなく、食品添加物として使用、販売等することが可能となった。

昔から使われており、安全性を経験的に確認できているものをいちいち規制することはない、という考え方だ。そしてGSE(グレープフルーツ種子抽出物)はこの名簿に記載されている。つまりGSEは、その利用実績にかんがみ、指定を受けなくても、食品添加物として使用も販売もできる既存添加物に分類されたのである。

もうひとつのポイントは、いったん既存添加物として認めながら、継続的に国がその安全性を確認することにした、ということである。1996年の段階ですでに、GSEは既存添加物として例外扱いされるほど使用実績があり、その後、国による研究で毒性検査にも合格し、安全性が追認された、という経緯である。直近の名簿更新は2020年(令和2年)2月26日だ。公益財団法人日本食品化学研究振興財団が公表している最新の既存添加物名簿をみると、安全性を確認されたGSEは、当然、抹消されずに残っている。

既存添加物名簿の111番目がGSE

たとえGSEを使っていても、食品添加物として認められていない成分を付加していると、当然に、既存添加物としては認められなくなる。一方、MISTECTウォーターの中身は精製水とGSEのみで、添加物は一切使っていない。したがって、MISTECTウォーターは「食品添加物」として使用し、販売することもできると国が認めたものであり、食器類や調理器具が露出している飲食店の厨房で気軽にMISTECTしても、安全で、食品衛生法違反となることもない(なお、当社は、MISTECTウォーターを食品添加物として販売する予定はない)。

自然派手作り化粧品では常識

GSEは口にしても安全だが、肌に触れた場合はどうだろうか。たとえばこのウェブページでは、化粧品や石鹸を手作りする人のための材料を販売しており、「グレープフルーツシードエクストラクト(GSE)」が紹介されている。

手作り石鹸と手作り化粧品の材料販売店・オレンジフラワーの
「天然防腐剤・酸化防止剤」コーナー
https://www.orangeflower.jp/soap/shop/gse/

せっかく手作りするなら、人工的なものはなるべく使いたくない、という人にとって、純植物性で天然の防腐剤であるGSEは福音なのだ。有名な市販の化粧品にも、除菌ティッシュにも、GSEを品質保持剤・除菌剤に使っているものがある。そして健康被害は報告されていない。

医薬部外品添加物リストでの扱い

厚生労働省が発表している「医薬部外品添加物リスト」には、「グレープフルーツエキス」として記載されており、以下のように整理されている。連番:726/成分コード:520376/規格コード:51(医薬部外品原料規格2006)

薬用石鹸・シャンプー・リンス・除毛剤・育毛剤・薬用化粧品・脇臭防止剤・忌避剤・浴用剤の項目にマルがつけられている。リンク先の文書の冒頭に説明があるが、これは<「医薬部外品の種類」欄に○印が付された成分について、これを該当する医薬部外品の添加物として配合する場合、原則としてその承認申請に際して、当該添加物の安全性に関する資料の提出を求めないこととすること>とされているもの。

つまり、もう十分に安全性は確認しているから、薬用石鹸やシャンプー、薬用化粧品や浴用剤に使う場合は、安全性に関する資料の提出を省略できるということである。(量の問題は別にして)口にしても安全、肌や頭皮・髪の毛につけても安全というお墨付きが国から出ていると理解していいだろう。

20年来のベストセラー点鼻薬にも

下の写真は、発売されてもう20年にもなる、アメリカのヒット商品・XLEAR(キシリア)である。鼻づまりを解消する点鼻薬で、子供用もある。そして、主成分がPurified Water, Xylitol, Saline, Grapefruit Seed Extract(精製水・キシリトール・生理食塩水・グレープフルーツ種子抽出物)と表記されている。

精製水・キシリトール・生理食塩水・GSEが主成分のXLEAR

「GSEが新型コロナウイルスを不活化する」という研究

イギリスの歯科医向け雑誌 “DENTISTRY ONLINE” に、このような記事が載っていた。キシリアが新型コロナウイルスを不活化するというエビデンスが出たという。しかも、その機能はキシリアが含むGSEによるものだ、というのである。鼻はウイルスや菌が最初にやってきて、とりつくところだ。そこで新型コロナウイルスを不活化できれば、効果は高いに決まっている。

Recently a company in USA called Xlear who manufacture xylitol based nasal sprays undertook research at the University of Geneva and the University of Utah, which looked at whether any of their sprays had an effect on COVID-19. They discovered that the xylitol and saline nasal spray which has been on the market for 20 years and has the ingredients, xylitol, saline and grapefruit seed extract is effective in killing the virus. […] When they further researched the ingredients separately, they discovered it was the grapefruit seed extract that was killing the virus – not the saline or xylitol (this is not yet published but I have viewed the reports from both universities). Human trials are now underway.

DENTISTRY ONLINE: Why breathing correctly is crucial to COVID-19 prevention. 6th August. 2020

(試訳。下線は筆者)
<最近、キシリトール主体の点鼻スプレーを製造しているアメリカのキシリアという会社が、ジュネーブ大学とユタ大学で研究を行い、同社のスプレーがCOVID-19に効果があるかどうかを調べ、ウイルスを不活化することを発見したのです。20年間にわたって売られているキシリトールと生理食塩水の点鼻スプレーですが、じつはその成分は、キシリトール・生理食塩水・グレープフルーツ種子抽出物です。(中略)
そして、さらに成分を個別に調べたところ、ウイルスを不活化したのはグレープフルーツ種子抽出物であることを発見しました。生理食塩水でもキシリトールでもなく、です(この研究はまだ論文としては発表されていませんが、私は両方の大学でレポートを見ています。現在、治験が行われています)。>

2020/11/25追記
GSEを含むキシリアがCOVID-19患者の治療に効果があった、という論文が発表されました。
Potential Role of Xylitol Plus Grapefruit Seed Extract Nasal Spray Solution in COVID-19: Case Series
https://www.cureus.com/articles/43909-potential-role-of-xylitol-plus-grapefruit-seed-extract-nasal-spray-solution-in-covid-19-case-series

→関連コラム「GSEとCOVID-19治療

第四級アンモニウム塩を含んでいたのは過去の話

さて、ネット検索すると、GSEが毒性のある物質(第四級アンモニウム塩)を含んでいる、と批判するブログも散見されることも事実である。しかし、これらの情報は古い。たしかにGSEから塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの第四級アンモニウム塩が検出されたことがあり、「GSEが効いているのではなく、残留農薬成分(合成抗菌剤)が除菌しているんじゃないか」と話題になった時代もあった。

その反省を踏まえ、GSE業界はこれらを検査してはじき、いまではピュアなGSEを供給している。冒頭に紹介した「既存添加物の安全性確保上必要な品質問題に関する研究」でも、合成抗菌剤成分は検出されていない

MISTECTが採用したGSEは、グリセリンやナトリウムなどの添加物を使わない「100%天然の植物エッセンス」であり、国が食品添加物としての安全性を確認したものである。たとえ食器が露出しているところでMISTECTをしたとしても、食品衛生法違反となることはなく、飲食店でも安心して使うことができる。

(Author:古瀬幸広)