2021年秋には新型コロナウイルス感染が落ち着いた日本でしたが、専門家が予想した通り、2022年1月には第6波が始まってしまいました。今回はオミクロン株という新しい変異ウイルスが感染をひろげています。
あれほど感染を抑え込めていたのに、それがオミクロン株に通用しない。ひとつの大きな理由はオミクロン株の免疫回避能力でしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
忽那賢志:新型コロナ 日本・世界中で急激な感染者の増加 なぜオミクロン株は広がりやすいのか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20220119-00277602
対策の「穴」を衝かれている
ただ、感染を抑え込めたので、ちょっと気が緩んだ、ということもあると思います。そこに感染力の強い変異ウイルスが上陸してきた。新型コロナウイルスは本当に狡猾だと感じます。対策の穴を正確に衝かれている感じです。
「ともかく換気」と専門家は警鐘を鳴らしていますが、飛沫感染・接触感染の可能性も減らしておきたい。身近で発見した「穴」をまとめておきます。
対策の穴01:マスク
オミクロン株の感染力を前提とすると、不織布マスクを二重にするか、不織布マスクの上から布マスクをするといった、「ダブルマスク」が適切なようです。町歩きにはウレタンマスクでもいいでしょうが、電車を含め、屋内では不織布のダブルに変更するのがスマートでしょう。
マスクのつけ方が不適切な人も目立ちます。とても重要なのが、不織布マスクの鼻の部分に仕込まれているノーズフィットです。これを鼻の形に沿って曲げることで、密着度を高めます。
鼻とマスクの間に隙間があると、大半の空気をこの隙間から吸い込み、また吐き出すことになり、マスクの効果が薄れてしまうのです。まして、鼻だしマスクは論外です。
電車の中など公共の場所で、前の人が急に移動したら、自分が避けられたと思って、マスクを点検するといいでしょう。マスクは防御だけでなく、迷惑をかけないためのツールでもあり、不適切なつけ方をしていると、他人から避けられます。「わかっていない人」は感染者である可能性も高いと判断されるからです。
マスクをわざわざ外してクシャミや咳をする人がいますが、これもまた論外です。「マスクを外すと周囲に迷惑をかける」という自覚が必要でしょう。「呼吸が苦しいなら、排気弁付のN95マスクがお勧め」という記事も、同じ理由でアウトです。排気がフリーだと、自分が感染者の場合、周囲にウイルスをまき散らすことになります(これは微細粉塵が飛ぶ現場で肺を守るマスクです)。
対策の穴02:髪の毛
「会食も避けていた。満員電車で感染したとしか考えられない」という記事が話題になっていました。たしかにそういう可能性はあるでしょう。ただオミクロン株の感染力からいって、もしも電車内で空気感染したのであれば、その車両の全体が大規模クラスターとなっているはずです。
ひょっとすると、電車内でウイルスが髪の毛に付着したことが原因かもしれません。国立感染症研究所によるクルーズ船の調査報告をみると、トイレの床に次いで、髪の毛があたる枕からウイルスの痕跡が多く検出されています。髪の毛はおそらく静電気でウイルスや菌を呼び込んでしまう。整髪料がキャッチすることもあるでしょう。
そして、何気なく髪の毛を触る癖をもつ人がとても多い。手指消毒をしてから食事をはじめても、途中で髪の毛を触ると台無し。うっかり髪の毛を触ったら、すぐに消毒、という意識をもつといいでしょう。満員電車では帽子をかぶるのも、いいかもしれません。COVID-19の治療にあたる医師たちは、頭もカバーしています。
cf.
国立感染症研究所:ダイヤモンドプリンセス号環境検査に関する報告(要旨)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9597-covid19-19.html
対策の穴03:調味料
飲食店でいつも気になるのが、テーブルは清掃するのに、調味料類は放置されたまま、ということです。飛沫のかかる位置にあり、誰もが手で触ります。これだけ感染がひろがってくると、調味料容器は汚染されていると考えるべきです。
調味料を使ったら、すぐに手指を消毒することです。髪の毛や調味料やテーブルの裏など、食事中に触るところにウイルスが付着している可能性は常にある。「食事中は頻繁に消毒」が正解だと思います。
また、器に紅ショウガなど漬物類をいれてテーブルに置く店は、提供の仕方を変更したほうがいいと思います。開店してからここまで、多数のお客様がクシャミや咳をしながら漬物をとったかも、なんていう想像をすると、食べられません。これは感染リスクとは関係がない。新しい衛生概念への対応と言っていいでしょう。
対策の穴04:おしゃべりに夢中×長居
2022年1月19日、政府対策分科会の尾身茂会長は、「人流制限ではなく、人数制限が求められる」という発言をしました。大人数のなにがいけないか? それは、話す相手との距離が遠くなり、ついつい声が大きくなってしまうことです。会食中はマスクを外すことが多いので、ただでさえ、飛沫やエアロゾルのリスクが高まる。まして大きな声を出されるとマズイ、という話。
飲食店に普及しているアクリル板についても、同様の研究が出ています。二人の間に設置すると、たしかに飛沫が飛ぶのは抑えられるが、つい声が大きくなってしまって、エアロゾルが多く飛び、リスクが高まるという内容。
cf.
アクリル板が感染リスクを上げる? 会話しづらく大声を誘発。卓上空気清浄機が有効
http://economic.jp/?p=95211
非常に感染リスクが高いと思うのは、この写真のような食事です。手を使うことも多いし、互いに料理に飛沫を飛ばしあっている。この状態でおしゃべりに夢中になると、熱々の料理も冷めきってしまう。ともかく人がいる限り、皿の上に放置された料理に、ウイルスが降り注いでいる可能性があります。
ウイルスは熱に弱いので、熱々のうちに食べると感染リスクを下げられます。マスクをつけたまま話し、料理が出てきたら黙々と手指を消毒しつつ食べ、そしてまたマスクをつけるのが正解でしょう。そして隣にもお客さんがいるなら、長居はしないことです。
対策の穴05:ノーケアの床
最後に、床も対策の穴となっていると当社は考えています。「床を舐めたりはしないから、問題ない」という専門家もいますが、気にしているのは次の二つの点です。
- ウイルスの大半は下に落ちる
空気が乾燥しているいまの時期は、加湿器がウイルス対策になると言われています。加湿で空気中のウイルスが下に落ちるからです。ソーシャルディタンシングが推奨されるのも同じ。距離をとれば、その間にウイルス入り飛沫が下に落ちます。逆にいうと、つまり、床には多数のウイルスがいるということです。 - 乾燥すると床のウイルスはホコリに乗って舞い上がる
落ちた瞬間は、たしかに無視できるほど感染リスクは小さいでしょう。ただし、乾燥すると、再びウイルスはホコリに乗って舞い上がります(それを吸いこんでの感染に「塵埃感染」という名前がついている)。床を舐める人はいないでしょうが、放置しておくと、感染源となる可能性があるということです。
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群。これもコロナウイルスが原因)の流行時、香港のアモイガーデンというマンションで起きたクラスター(200人規模の大規模感染事例)は、床に落ちたコロナウイルスを無視できないことを示す事例でしょう。
これは、トイレの排水トラップが乾燥していたことが問題でした。とある感染者のトイレで換気扇をまわしたら、トラップを通じてウイルスのついたホコリがマンションの他の階のトイレにも拡散してしまい、大量の感染者を出したのです。
cf.
香港のアモイガーデン(Amoy Gardens)におけるSARSの集団発生について
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/eiken/kansen-center/shikkan/sa/sarsamoy1.html
そしてこれと同じことが、新型コロナウイルスでも起きる可能性があることを指摘する論文も発表されています。
COVID-19 Cluster Linked to Aerosol Transmission of SARS-CoV-2 via Floor Drains
https://academic.oup.com/jid/advance-article/doi/10.1093/infdis/jiab598/6505230
MISTECTのメインターゲットは床
MISTECTを実用化すると決めたときに、念頭にあったのは、上で触れたアモイガーデンの事例でした。このリスクを解消したかったのです。
床がウイルスの温床となる可能性が高いのに、ケアできるものは多くありません。アルコールを広い床に散布すると、爆発・炎上の危険がつきまといます。塩素系の薬剤を使うと、匂いに閉口する上、モノにも大きな影響が出る。床下のネットワーク機材が壊れたりもします。
MISTECTを室内で数分間稼働させるだけで、GSEを室内の床を含めた露出表面に自動的に拡散し、付着させます。そして、落ちてきたウイルスを抑制し続ける。GSEの効果の持続性を利用したシステムです。
飲食店で使えば、床からの感染を防げる可能性が高いだけでなく、テーブルの裏や調味料容器もケアできますから、もう除菌に人手は不要。自動除菌システムの一種でもあります。もちろん、トイレにもぜひ利用していただきたいシステムです。消臭効果も高く、他の菌・カビ対策にもなります。
劇団クラスターという傍証
日本でも、床対策が重要であることを示すクラスターが起きています。2020年10月に起きた埼玉県の劇団クラスターです。91人で芝居の稽古をし、76人もの感染者が出ました。感染源は1名だったそうです。
うかつな行動の結果のクラスターではなく、関係者はマスクをし、頻繁にドアノブなどの消毒もし、換気も定期的に行っていたそうです。「万全の感染予防策をとっていたのに、なぜクラスター?」という報道もありました。
cf.
毎日新聞:対策徹底しても76人感染 「ミュージカル座」クラスター 劇団ならではの事情
https://mainichi.jp/articles/20201024/k00/00m/040/268000c
その謎を解く鍵は床対策の欠如である、というのが、当社の仮説です。劇団練習では声を出しますし、マスクも100%のシャットアウト効果はありませんから、感染者の出すウイルスが床に多数落ちたことでしょう。そして乾燥したウイルスは、人が動くたびに、ホコリに乗って再び舞い上がります。
さらに劇団員は床に座り込むし、手もつく。じつは身体中にべっとりとウイルスを付着させた可能性があるわけです。でも「床にウイルス」という意識はないから、気にもとめない。ここも問題。髪の毛がノーマークなのと話は同じです。
MISTECTに注目していただきたい、と思います。学校の体育館も同じです。子どもたちの安全を守るためにも、そして災害時の避難場所の安全を守るためにも、床対策のできるシステムは必須でしょう。
GSEにエビデンスがあり、MISTECTには実績がある
GSEが新型コロナウイルスを抑制することを確認した論文は、内外で発表されています。下の論文は、キシリトールとGSEを含む点鼻薬の成分のうち、GSEが新型コロナウイルスを抑制することを確認したものです。エンベロープを壊すことも、その後の電子顕微鏡による観察で確認されています。ということは、変異株にも有効だということです。
A Nasal Spray Solution of Grapefruit Seed Extract plus Xylitol Displays Virucidal Activity Against SARS-Cov-2 In Vitro
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.11.23.394114v1
そしてMISTECTには実績があります。これまでMISTECTされてきた全国約80箇所で、クラスターの発生はありません。リスクの高い次の事例でも、クラスターを防いでいます。
- 山野楽器(2020年秋からMISTECT利用)
全国462の、必ず声を出す音楽レッスンルームでクラスター発生ゼロ - 香川県の保育園(2020年秋からMISTECT利用)
陽性の園児が登園し、33名の濃厚接触者がいたが、2次感染ゼロ - 埼玉県の老人ホーム(2021年春からMISTECT利用)
食事の介助者が陽性。しかし、介助された方を含め、2次感染ゼロ - 千葉県の保育園(2020年秋からMISTECT利用)
180名規模の園児がいるが、2020年秋からインフルもコロナもゼロ
とくに保育園の事例は、床対策が効いている実証であると言っていいでしょう。園児は床をハイハイするからです。
「減らす」ことが日常を取り戻すキーポイント
パンデミック初期と現在とでは、大きな相違があります。ワクチン接種が進んでいるということです。ウイルスは狡猾で、免疫を回避してブレークスルー感染させるように変異していたりもしますが、それでも、ワクチン接種が重症化をかなりの確率で防いでいることが明らかになっています。
感染予防という観点からみると、大きいのは、「数個のウイルスでも感染した」という状態を脱することができた点です。大量のウイルスに曝露すると、やはり感染してしまうけれども、少しだったら免疫でなんとかクリアできる。だったら、室内のウイルスを減らせばいいのです。
空気中のウイルスは換気や空気清浄機で、床を含めた露出表面のウイルスはMISTECTで減らしてください。
MISTECT導入のご相談は、この窓口から承っています。